
省エネルギー改修工事の効果を評価するための手法である。ESCO(Energy Service Company)事業では省エネルギー効果を保証し、予想した効果が得られない場合は顧客の損失分を補償する契約を取り交わす。この際の省エネルギー効果を推計する手法として開発されたものである。
この他、米国DOE(Department of Energy)とNAESCO(National Association of Energy Service Companies)が行った調査によると、計測・検証が適切に行われている事業の省エネルギー効果は一般に高く、またその効果が持続するという結果が得られている。つまり、計測・検証を明確に行うことは、省エネルギーの実現を長期にわたって保証する効果を持つと考えられている。
計測・検証の目的は以下に示すとおりである。
(1) ESCOへの支払い金額を明確にする。
(2) 設備の効率的な稼働。
(3) ESCOの行う削減量の保証の信憑性を高める。
(4) 第三者による保証が行われない際、投資家が事業の効果を適切に評価することを可能にする。

資料)G.H.Kats,A.H.Rosenfeld,S.A.McGraghan, 1997, Energy Efficiency as a Commodity: the Emergence of a Secondary Market for Efficiency Savings in Commercial Buildings, Proceedings of ECEEE Summer Study
省エネルギー効果の評価は、省エネルギー改善工事が行われなかった場合のエネルギー消費(ベースライン)を推計し、これと実際のエネルギー消費を比較する。この際ベースラインが変動することもある。これらを全て正確に把握するには、計測を含む十分な期間のデータ収集が必要になる。従って、最も適切と考えられる省エネルギー効果の推計方法を、顧客とESCOがコスト面を含め合意することが重要になる。
一般に計測・検証を行うには以下のような手順で行う。
(1) ESCO契約に合意するために、一般的な計測・検証の手法を決定する。
(2) 省エネルギー改善計画の提出と、契約の調印が行われた段階で、導入する省エネルギー技術毎に計測・検証計画を合意する。
(3) ベースラインのエネルギー消費量を推計する。
(4) 設備設置後(改修工事後)のエネルギー消費量を推計する。
(5) 契約期間中のエネルギー節減量を推計する。
(6) 契約期間中、毎年計測・検証を実施し、省エネルギー効果を確認するともに、ESCOへの支払額を決定する。
エネルギー消費は設備の容量、効率、稼働時間で決まる。これらが一定の場合と変動する場合では、省エネルギー効果の評価手法やその難易度が異なる。また、高効率の照明に変更した場合、空調負荷が変化(冷房負荷の減少と暖房負荷の増加)するなどの相互作用もある。計測・検証を行う場合には、これを考慮して評価手法を選択することが必要である。
計測・検証は以下に示す4つのオプションに分類することができる。このようなオプションを提示し、M&Vの普及を目的に作成されたガイドラインをM&VP(Measurement & Verification Protocol)といい、米国のDOE(Department of Energy)が開発したIPMVP(International Measurement & Verification Protocol:http://www.ipmvp.org)が代表的である。
オプションA:簡易な手法(短期計測を含む)
オプションB:長期計測による手法
オプションC:統計的処理による手法
オプションD:シミュレーションによる手法
(資料:IPMVP:DOE, 1997, International Measurement and Verification Protocol)
計測・検証のオプション
| オプションA | オプションB | オプションC | オプションD | |
| 計測・検証の対象 | ・導入した手法毎に評価する ・システムの負荷変動が小さい ・システムの年間運転時間が一定 |
・導入した省エネ手法毎に評価する ・システムの負荷変動が大きい ・システムの年間稼働時間が変化する |
・導入した省エネ手法をシステム又は建物全体で捉える | ・導入した省エネ手法を、システム全体あるいは建物全体で捉える |
| ベースラインの設定 | ・カタログ値、あるいは瞬間計測 | ・機器毎の消費量を短期(数日から数ヶ月)計測する | ・機器毎の計測はしない。ただし、部分的な短期計測を行う場合がある | ・機器毎の計測はしない。ただし、部分的な短期計測を行う場合がある |
| ・機器の性能に年間運転時間を乗じて求める | 計測結果より消費量を算定(必要に応じて変動要因との関係を数式化) | 改修前の運転実績データ(3年間程度)から消費量の推計式を開発する(統計解析によるモデル化) | 改修前の運転実績データ(3年間程度)よりシミュレーターの係数を調整 | |
| 改修後の消費量の把握 | ・検証を必要としない、あるいは、短期計測で機器特性に変化の無いことを確認 | 機器別消費量を長期計測 | 統計処理による。ただし、部分的に短期/長期の計測を行う場合がある | シミュレーターによる解析。ただし、シミュレーターの係数などを調整する必要がある |
| 改修後の検証 | ベースラインと改修後の消費量(実績/推計値)から求める | |||
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